4.快適をつくる、「温熱」をデザイン

快適な住まいの条件として、

「夏涼しくて、冬は暖かい」ことを挙げる方はとても多いです。

 

しかし、「涼しい」「暖かい」という感覚は、一時の「快感」に過ぎません。

蒸し暑い日に冷房の効いた室内に入り、「わぁ、涼しい!」

寒くて凍えそうな日に、ストーブの前に座って「暖かいなぁ」

そう感じる瞬間は、たしかにとても気持ちいいものです。

 

ただ、残念ながらその快感は長続きしません。

 

冷房の効いた空間に長くいればやがて肌寒くなり、ストーブの前に座り続ければ、暑いと感じるようになるでしょう。

 

このように、「快感」と「快適」は違うものだということをまずは知ってください。

「快感」と「快適」の違い

では、「快適」とはどんなものでしょう。

 

それは、「夏は暑くなく、冬でも寒くない」ことではないでしょうか。

 

暑さ寒さのストレスを感じることなく、リラックスできる空間。

 

ずっとこの場所に居たいと感じられる空間であることこそ、

 

本当の意味で「快適」な住まいの条件だとクリエは考えます。

 

そもそも、私たち人間は、体温を一定に保つことのできる恒温動物です。

体温を保つには、生きていくうえで発生する代謝熱を放出することが必要ですが、

夏は周りの温度が高いので熱が逃げにくくて「暑い」と感じ、

冬は気温が低いので熱が逃げすぎてしまい「寒い」と感じます。

これが、暑さや寒さを感じるメカニズムです。

つまり、代謝熱を適度に放出することができれば、

暑さや寒さを感じない「快適」な状態で過ごすことができるのです。

 

「それならやっぱり、冷暖房で室内の温度を調整すればいいんでしょ?」

いいえ、実はそれだけではないんです。

熱の移動は、周りの空気との間だけでなく、壁や窓、天井など

離れた場所にある物体との間でもおこなわれています。 

 

周りの空気との熱のやりとりを「対流」、壁や窓など物体との熱のやりとりを「放射」と呼びます。 

快適な温熱環境を手に入れるためには、エアコンで室内の温度を調整する「対流」だけでなく、壁や窓の温度に影響される「放射」にも気を付けなくてはいけません。

断熱性の低い住まいでは、壁や屋根などの外皮が外の気温の影響を受けやすく、いくらエアコンで室内の空気の温度を調整しても、放射による「暑い」「寒い」という感覚が残ります。 

壁や窓の温度に影響される放射にも気をつける

それを対流で補おうとすると、冷暖房にかかるエネルギーがどんどん増えるばかりか、

足元に冷気がたまり、頭から上は暖気が充満した、とても不快な状態になってしまいます。

 

快適で健康的な温熱環境をあらわす言葉に、「頭寒足熱」というものがあります。

これは、上半身と下半身の温度差を小さくするということ。

二本足で立つ人間は、どうしても足元は血流が悪くなって冷え、頭には血がのぼってのぼせがち。

だから、快適かつ健康的に過ごすためには、足元はなるべく暖かく、頭は風通しの良い状態であることが大切なのです。

 

「快適」な住まいとは、心地よい温熱環境を保つことのできる住まいです。

そのために必要なのは、省エネやエコをうたった高性能なエアコンではありません。

 

「暑い」「寒い」と感じることのない温熱環境を実現する、断熱性能こそが大切なのです。